高齢者の脂質の摂取目標量は?
脂質異常症にならない為には量と質が大事
こんにちは KBです。老人ホームで理学療法士として働いています。
本日、下記のツイートをしました。
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*高齢者の脂質摂取について*
・総カロリーの20〜30%に留める
(まずは50g前後からスタート)
・飽和脂肪酸は摂りすぎ注意(摂らなすぎもダメ)
・不飽和脂肪酸は冠動脈疾患のリスクを下げる
・ただしオメガ6脂肪酸の摂り過ぎはアレルギー疾患のリスク↑— KB @介護予防トレーニング (@KbShowhey) December 20, 2019
近年、国内の脂質異常症(高脂血症)の患者は増加傾向にあり、平成29年(2017)患者調査の概況
によると脂質異常症の総患者数は220万人500人だそうです。
ご存知かと思いますが、脂質異常症の予防に効果的なのは食事療法であり、特に脂質の管理が大切です。
大切なのは、脂質の量と質。
今日は脂質について一緒に学んでいきましょう。
高齢者が目標としたい脂質の量を紹介
公的機関、大学等の研究結果が情報源
極力、専門用語を少なめにして誰にでもわかりやすいように説明
数字と計算ばっかりでちょっと読み辛いけど、有益な情報です
脂質とは
脂質は身体の中でエネルギー源となり、ホルモンや細胞膜の構成、脂溶性ビタミンの吸収を助ける役割があります。脂質は脂肪酸という物質で構成されており、構造の違いにより大きく分けて2つあります。
飽和脂肪酸:肉や乳製品(バター、チーズ)などの動物性脂肪やココナッツオイルにも多く含まれています。摂取のしすぎで血中のコレステロールや中性脂肪を増やしやすく、冠動脈疾患のリスクを高めます。
逆に不足すると、血液の凝固作用が弱まり脳出血などを起こしやすくなります。
一般的には、過剰摂取になりやすい為注意が必要です。
単価不飽和脂肪酸:オレイン酸とい呼ばれる成分からできています。オリーブオイルに多く含まれています。
酸化しにくく、血中の悪玉コレステロール(LDL)を減らす効果があります。動脈硬化を防ぐ効果が期待できます。
多価不飽和脂肪酸:一般的に好影響をもたらす脂肪酸として有名です。身体の中で生成できない必須脂肪酸もこれに含まれます。
n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸に分かれます。オメガ3やオメガ6とも呼ばれます。
n-6系脂肪酸:体内では生成できない必須脂肪酸です。サラダ油などの植物性油に含まれます。
血中の悪玉コレステロールを減らしますが、摂りすぎると善玉コレステロールさえも減らすことがあります。
n-3系脂肪酸:エゴマ油やアマニオイル、魚に多く含まれます。血中の中性脂肪を減らしたり、不整脈を予防したり、血流を改善します。
日常生活では外食や加工食品で飽和脂肪酸を過剰に摂取しやすく、注意が必要です。 逆に不飽和脂肪酸は意識的に摂らなければ比率的に飽和脂肪酸が多くなってしまう為、 どんな食品に不飽和脂肪酸が含まれるか知っておきましょう。
脂質の摂取目標量
50歳〜69歳、70歳以上の高齢者共に目標値は
男女ともに、総カロリーの20〜30%(kcal/日)
厚生労働省HP (1)日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要
となっております。現状、それ以上の脂質を摂っている高齢者が多いため、「目標値」としています。
まず知っておかなければならないことは、脂質1gあたりのカロリーが9kcalであることです。
そして、自分の摂取すべき総カロリー量を知ることです。
ご自分の摂取カロリー量はこちらの記事を参考にしてください
例 1日の総カロリー摂取量が2100kcalの男性 まずは総カロリーに占める脂質の割合を計算する。 2100×0.2〜0.3=420〜630 420〜630kcal 次に脂質のカロリーを1gあたりの脂質のカロリー(9kcal)で割る。 420÷9=46.6 630÷9=70 目標とする脂質摂取量は、 47〜70g/日となる。
例 1日の総カロリー摂取量が1650kcalの女性 まずは総カロリーに占める脂質の割合を計算する。 1650×0.2〜0.3=330〜495 330〜495kcal 次に脂質のカロリーを1gあたりの脂質のカロリー(9kcal)で割る。 330÷9=36.6 495÷9=55 目標とする脂質摂取量は、 37〜55g/日となる。
以上の計算式を参考にしてください。
総摂取カロリーの20%〜30%で算出すると実際の脂質摂取量に幅が出ますね。
脂質は普通に生活していると摂りすぎてしまう傾向があるので、目標としては20%を目標にしたいところです。
完璧にこだわると栄養管理は長く続かないので、初めて管理をする方は概ね20〜30%になるようにゆるめに食事制限をしていきましょう。
飽和脂肪酸はどれだけ摂ればいい?
日本人の食事摂取基準では飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸をどれだけ摂取すべきかも表記しています。
飽和脂肪酸:総摂取カロリーの7%未満、4%以上
例 1日の総カロリー摂取量が2200kcalの男性(75歳) 2200×0.07=154kcal これを、脂質1gのカロリー(9kcal)で割る。 154÷9=17.1 飽和脂肪酸の摂取量は17g/日以下が望ましい 総カロリー摂取量が2200kcalの人の脂質の目標量は 49g〜73gであり、17gは脂質の摂取量の23%です。
飽和脂肪酸は、総カロリーの7%以下または
脂質の摂取量の23%以下
が望ましいようですね。
不飽和脂肪酸はどれだけ摂ればいい?
不飽和脂肪酸は大きく分けて2種類と書きました。n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸です。
n-6系脂肪酸の摂取基準
50〜69歳 男性:10g/日 女性8g/日
70歳以上 男性8g/日 女性7g/日
となっております。
n-3系脂肪酸はどうでしょう?
n-3系脂肪酸の摂取基準
50〜69歳 男性:2.4g/日 女性2.0g/日
70歳以上 男性2.2g/日 女性1.9g/日
n-6系脂肪酸の過剰摂取はアレルギー疾患のリスクが、
n-3系脂肪酸の過剰摂取は脳出血のリスクが高まる為注意しましょう。
脂質異常症にならない為に
現在、日本での高齢者の脂質の摂取量の平均値は概ね、目標量以下であることが報告されいます。
しかしこれはあくまで平均値。過剰に摂取している方もいれば逆に脂質が不足している高齢者も多いことが予想されます。
紹介した脂質の量、質をよく考えながら食事管理をして、健康な毎日を送りましょう!
参考文献
(1)平成29年(2017)患者調査の概況
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