高齢者が鍛えるべき筋肉は?Part.2
こんにちは ケービーです。老人ホームで理学療法士のお仕事をしています。
先日、高齢者が鍛えるべき筋肉についての記事を書きました。
こちらで紹介した筋肉は、大殿筋と、中殿筋でした。立ち上がりを楽にしたり、
歩く時に体を安定させる効果がありましたね。
近年、高齢者の筋トレの重要性が高まっており、TVなどのメディアも筋トレを強く勧めています。
筋トレを行うことで転倒などの事故を予防することができ、
活動性が増えることで生活が豊かになります。
高齢者が鍛えて欲しい筋肉と、その筋肉の動作への影響を解説
極力、専門用語を少なめにして誰でもわかるようにしています
各筋肉の鍛え方は省略しています。(鋭意作成中!)
腹筋群(腹横筋、腹横筋、腹斜筋)
腹筋と一口に言っても種類があり、
外側にあるアウターマッスル(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋)
内側にあるインナーマッスル(腹横筋)
と浅層、深層の筋肉に分かれています。それぞれが個別の作用を持っています(ここでは割愛)
が、共通するのは体幹を安定させる作用をもつことです。
動作の時に人体は常に体幹の筋を働かせています。収縮させて体幹を固定させたり、逆に緩めて柔軟性を出し調整をしています。
例え、腕や足の筋肉がボディビルダーのように屈強でも、体幹の筋肉が安定してなくては大きな力を発揮することはできません。
四肢の筋肉が弱っている高齢者なら尚更、腹筋群は動作への貢献度が高い筋肉だと言えます。
腹筋群の貢献度の高い動作
- 呼吸、咳嗽(せき)
- 起立動作(お尻が浮く時に力を発揮する)
- 階段昇降(片足を上げている間、反対の足側の収縮している)
- 歩行(地面に足が接地している間に骨盤、体幹を支える。特に内腹斜筋の貢献度が高い)
- 直立(常にわずかな収縮を繰り返している)
腹筋群が弱いと…
- 呼吸、咳嗽能力の低下(腹筋短縮の影響)
- 立ち上がる時に力が入りにくい
- 立っている時にふらつく
- 階段の上り下りの時にふらつく、しんどい
- 長時間座っていると疲れてしまい、座っていられない
- 腹圧が弱くなる為、脊柱に負担がかかり腰痛などの原因になる
腹圧とは? 人間のお腹の中には腹膜という膜に包まれた空間があります。この中に胃や小腸など の内臓が収納されています。この空間を腹腔と呼びます。 腹腔は上部を横隔膜、下部を骨盤底筋、前側から左右を腹横筋、後側を多裂筋に 囲まれています。息を吸う時に横隔膜が収縮し、腹腔側に膨らみます。 この時に骨盤底筋、横隔膜、多裂筋が収縮し腹圧(腹腔の内圧)が高まります。 風船のようなイメージでしょうか。 体幹には脊柱(背骨)が通っていますね。脊柱単体では体を支えることはできません。 脊柱起立筋やその他の背中の筋肉が絶妙に働いて脊柱を支えています。ただそれだけ では支持性が足りない為、腹圧が脊柱の支持を助けています。
脊柱起立筋(筋群)
脊柱起立筋やその他の背中の筋肉が脊柱を支えていると書きました。
脊柱起立筋は単一の筋肉ではなく、8〜10個の複数の筋肉の総称です。
地球からの重力を支える筋肉を抗重力筋と呼びます。
足、腹部、首…それぞれの体節に抗重力筋が存在します。
脊柱起立筋は脊柱を支える抗重力筋で、作用は体幹の伸展や回旋、側屈です。頸部も同様に動かします。
体幹をまっすぐに保つ筋肉と考えます。
脊柱起立筋の貢献度の高い動作
前屈みになった時など、体幹を曲げた状態を保ったりする動作に、主に貢献しています。
また腹筋と同様にあらゆる動作時に収縮と弛緩を繰り返しています。
- 浴槽のまたぎ動作、ズボンの脱着など、前屈みの姿勢
- 物を持ち上げる動作
- 歩行動作
- 立位(常にわずかな収縮と弛緩を繰り返している)
- 片足立ち(バランスの制御をしている)
脊柱起立筋が弱いと…
高齢者ではこの脊柱起立筋が弱ることにより、背中が曲がる「円背」になる可能性があります。
脊柱起立筋が弱ることで体幹をまっすぐに保てなくなり、結果、胸椎や腰椎などのS字カーブが強くなり、それが固まってしまって円背になるということですね。
当然、体幹を支える力が弱る為に動作にも影響があります。
- 立ち上がる時に力が入りにくい
- 片足立ちの動作をする時にふらつく
- 階段の上り下りの時にふらつく、しんどい
- 長時間座っていると疲れてしまい、座っていられない
- 脊柱に負担がかかり腰痛などの原因になる
体幹の筋肉のバランスも大事
今回は、体幹を支える筋肉を紹介しました。
- 前側 腹筋群
- 後側 脊柱起立筋
前側の筋肉と後側の筋肉が調整しあって体幹を支えています。
どちらかの筋肉が強力で、片方は弱くても、支持性のバランスが崩れ安定しません。
これらの筋肉をバランスよく鍛えて80歳、90歳…100歳を超えてもピンとした背中を作りましょう!
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