【コラム】正月、”白いアイツ”に注意…!!

高齢者の事故

こんにちは ケービーです。 老人ホームで理学療法士として働いています。

今日は2019年、12月31日です。
大晦日ですね。みなさん、風邪などは引かれていないでしょうか。

年末年始は高齢者のある死亡事故が急増します。交通事故?それもあるかもしれません。
犯人は、白いアイツ。

そう、

 

お餅…

連邦の白い悪魔と言えばRX-78ですが、
正月の白いアイツと言えばお餅です。

『(1)消費者庁御注意ください、高齢者の窒息事故!-お正月の餅の窒息に注意-みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故③』によると、平成28年の高齢者の餅による窒息事故は88件に登りました。

出典『(1)消費者庁御注意ください、高齢者の窒息事故!-お正月の餅の窒息に注意-みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故③』

特に1月と2月は事故が多くなり、1月の事故件数は全体の3割にも登る27人でした。

出典『(1)消費者庁御注意ください、高齢者の窒息事故!-お正月の餅の窒息に注意-みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故③』

毎年テレビなどのメディアで取り上げられる為、「お年寄りは喉をつまらせやすい」という知識は皆さんご存知かと思います。
僕が働いている老人ホームでは三ヶ日に毎朝食、雑煮が提供されるのですが、介護士は「気が気でない!」と声を上げてます。当然、窒息の対策はしていますが心配だと思います。

高齢者はなぜ喉を詰まらせやすい?

高齢者になると加齢による退行的な変化が起こり、それらの変化は食事に影響してきます。
以下の変化が餅の窒息事故を招きます。

  • 唾液の分泌量低下…唾液の量が減り、餅を柔らかくすることができない
  • 咀嚼機能の低下…歯の安定性低下、入れ歯、咀嚼筋の衰えから十分に噛めない
    ※窒息事故を起こした高齢者の喉から取り出した食物のほとんどは十分に噛まれていなかったとのこと
  • 嚥下機能の低下…飲み込む力が弱くなり途中で止まってしまう
  • 咳嗽機能の低下…咳き込む力の低下。気道に食べ物が詰まった時に吐き出すことができなくなる
  • 認知機能の低下…食べ物の認識力が低下して適切な食べ方ができなくなる

色んな原因が重なり餅の窒息事故が起きてしまうのですね。
餅は若い人でも油断すると喉を詰まらせることがあるので、高齢者だとより顕著ですよね。

餅による窒息事故を防ぐ為の対策

☑️餅を小さく切る
最も効果的な対策でしょう。餅を小さく切っておきます。
私の職場でも、嚥下に不安のある方への餅の提供は小さく切ってお出ししています。

ちなみに、予め小さく切っておいてもお雑煮を作る時に一緒に煮てしまうとひっつき合って大きな塊になってしまうので注意しましょう。

☑️少しずつ口に含み、よく噛む
餅の塊を大きく噛み切ると、とても危険です。少しずつ口に含み多く噛みましょう。
30回を目安に噛みましょうね。

☑️水、汁物で喉を潤しながら食べる
高齢者は唾液の分泌量が少なくなると書きました。餅を口の中で柔らかくすることができなくなるのですね。そこで唾液の代わりになるのが水分です。
水や汁物で喉を潤しながら、餅を食べましょう。

☑️餅の代わりに、白玉を食べる
嚥下能力が低下している為、小さい餅でも窒息の可能性がある方は、餅の代用として白玉もちを食べると飲み込みやすいです。

早期の気付きが大切

高齢者の嚥下能力は急に低下するものではありません。水分を飲んだ時にむせたり、喉に違和感が残ったりと予兆(サイン)があります。

早期にそれを自覚、または周囲が察知することで窒息事故を防ぐことができます。

参考文献

(1)消費者庁御注意ください、高齢者の窒息事故!-お正月の餅の窒息に注意-みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故③

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_009/pdf/caution_009_181226_0001.pdf

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