こんにちは。ケービーです。老人ホームで理学療法士のお仕事をしています。
有酸素運動は脂肪燃焼効果や、心肺機能の向上などが期待でき、シニアの健康寿命を伸ばすのに好影響があります。ウォーキングは代表的な有酸素運動ですが、冬の寒い時期は外に出るのが億劫で、休みがちになる方も多いのが実情です。
では、屋内でできて効果も高い有酸素運動はないものか?その疑問に今回は答えていきましょう。
屋内で安全にできる有酸素運動4選
チェア・エクササイズ
チェア・エクササイズは椅子に座ったままできる運動のことです。
安全で膝や足に優しいこの運動は日本中の健康教室やデイサービスで採用されています。
京都大学の林達也氏の研究(1)によると、チェア・エクササイズの1種である「すわろビクス」を63歳〜69歳の女性10人が4ヶ月間、継続的に行ったところ、有酸素運動能力が向上したと報告しています。
座って行う「すわろビクス」は脚の運動を中心に全身を動かす40分間の運動で、その運動強度はウォーキングの「早歩き」「大股歩き」と同レベルの強度とのこと。
「すわろビクス」の他にも様々なチェア・エクササイズのプログラムが作られており、そのどれも効果的な有酸素運動の強度に設定されています。お勧めの動画を2点、紹介します。
鈴木孝一氏の有酸素・リズム体操。リズムに合わせて常に体を動かし続けています。
junko nasu氏のチェアービクス 脚だけじゃなく同時に手の細かい運動をしています。
30分を目標に!
有酸素運動は適切な心拍数に達してから20分前後で脂肪燃焼効果が高まると言われています。当然10分でもその効果はありますがより高まるのは20分を経過してからと考えられます。
その為、運動習慣のない高齢者はまずは20分を目標にして、30分行えるように継続していきましょう。
身体と相談しながら、35分、40分と伸ばしていけばより健康な毎日が送れそうですね。

屋内とはいえ、有酸素運動は負荷の高い運動です。
定期的な水分補給をお忘れなく!
立ったままの足踏み運動
チェア・エクササイズよりも負荷が高いのが、立位での運動です。
立っている姿勢は脊柱起立筋や大殿筋などの姿勢保持筋(抗重力筋)の発揮が必要であり、より多くのエネルギーを必要とします。
さらに、その場で足踏みをすることで、瞬間的に片足立ちになります。この時身体はバランスをとる必要がある為、中殿筋や腹筋が働きます。
チェアエクササイズが物足りない方、バランス能力を鍛えたい方は立位での足踏み運動ややさしいエアロビクスがお勧めです。
鈴木孝一氏の立位での体操。足が滑らないようにヨガマットを敷いていますね。
歩きながら腕も動かすことでよりバランス能力が高められそうです。
junko nasu氏の高齢者体操リズム運動 横や前の動きもあり少し負荷が高め。皆さん楽しそうですね!
怪我に気をつけて!
座位と違って立位の運動は膝や股関節などの各関節に負荷をかけます。
ウォーキングよりやさしくはありますが、身体には気をかけましょう。痛みを感じたら中断し、実施可能な運動を行ってください。
また、前述した通り足踏み運動はバランス能力が必要です。ふらついて立っていられない方は適応ではない為、その場合も座って行う運動に切り替えましょう。
また、前述した通り足踏み運動はバランス能力が必要です。ふらついて立っていられない方は適応ではない為、その場合も座って行う運動に切り替えましょう。

まずは安全に行えるか?を考えましょう。無理は禁物です!
段差昇降
さらに負荷、難易度の高い運動を紹介します。
踏み台や階段を1段上がる。降りるを繰り返す運動が、段差昇降です。
段差昇降は段差を登るときに強力な力が必要となる為、腸腰筋と大殿筋が鍛えられる良い運動です。
この運動も足踏み運動と同じくバランス能力が必要になります。
ダイエットsafari様の踏み台昇降。20分間、動画に合わせて運動ができます。
段の高さは?
下半身の筋肉を鍛える目的だと、15~20cmがお勧めですが、今回の記事では長く行える有酸素運動の方法になります。高齢者では10cm程度の踏み台(または階段)をお勧めします。
高齢者では股関節にある腸腰筋が若者より弱く、また関節自体の硬さもある為に高い段差では強度が高すぎます。運動強度が高すぎると有酸素運動が無酸素運動に変わってしまう可能性があります。
「こんなに低くて効果あるの?」と思うかもしれませんが、やってみるとわかります。段差昇降20分はかなりきついです笑

段差昇降はめちゃくちゃきついです!5分続かなかったら負荷が高すぎる可能性があります!
エルゴメーター(エアロバイク)
エアロバイク、フィットネスバイク、エルゴメーターと呼ばれる自転車型の運動器具があります。
エルゴメーターは室内で効果的、かつ安全に有酸素運動ができる運動器具です。持続的にペダルを漕ぐ感覚はまるで自転車のようです。
時間の管理や心拍数、距離の管理ができるものがほとんどで、圧倒的に運動効率が良いです。
膝や股関節への負担も少ない為、各種関節疾患を持ってる方にも適用することが多いです。
欠点は、コストがかかることです。エルゴメーターを使う方法は2つあり、
・ジムなどの公共施設で使う(市営トレーニングルームの利用料は1回100〜500円くらいでしょうか)
・エルゴメーターを購入する(1万円から、ピンキリな値段です)
どちらにしてもお金がかかるのが難点です。自分のライフスタイルに合わせて購入するか否か、検討しましょう。
購入の際は、必ず以下のポイントをチェックしてくださいね
- 心拍数が測れるか
- 運動時間が把握できるか
- 負荷を簡単に変えることができるか
- 自分の体格に合っているか(高齢者では、低床型のエルゴメーターをオススメしています)
まとめ
今回は、屋内で行える有酸素運動を紹介しました。
高齢者の運動選択の観点は、
- 安全か?
- 適切な心拍数で運動できているか?目標心拍数の計算方法はこちらの記事に書いてあります。
- 長期的に継続ができそうか?
- 痛みがないか?
- 楽しいか?
と、リスクを極力回避し、楽しみながら続けられるものを考える必要があります。
あなたに合った運動を、見つけてくださいね。
参考文献
(1)高齢低体力者を対象とした座位運動プログラムの確立と その臨床的意義の検証
http://kyoto-u-cardio.jp/shinryo/img/20060808.pdf
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